2007年11月21日水曜日

夢の島で逢いましょう

著者名;山野一 発行年(西暦);2000 出版社;青林堂
 昔「ガロ」という漫画雑誌がカルト的な人気を誇っており、その中でも鬼畜系統の特殊漫画家あるいは変態エロ漫画家と位置づけられていた山野一の初期の作品を特集したもの。インド哲学の影響をはしばしに感じさせる時間軸も空間軸もはっきりしない作品ばかりで、農薬などを集中的にまいた結果特別変異をおこした囚人たちが突如暴れだすといった表題の作品などもあるが別に科学技術に対するアンチテーゼというわけでもない。なんとなくブランドだとか近代的な生活とかを極端なほどまでぶちこわすのが特徴で読んだ人によっては吐き気をもよおす人すらいるかもしれない。ただ今の生活がなんとなく「うわっつら」だけのような気分がする場合に山野一の本を読むとスッキリしたりもする。どのみち破壊されてもこの作品の中どまりといった妙な安心感すらわいてくるのだ。これって不可思議な現象だが無茶苦茶気持ち悪い作品でしかも日常生活のお約束をすべてぶちこわされるとかえってそこに回帰したくなるという妙なもので、それが小市民ってことかななどとも思ったり。

0 件のコメント: