2007年11月21日水曜日

やんごとない姫君たちの秘め事

著者名;桐生操 発行年(西暦);1998 出版社;角川書店  
 主に歴史上の人物の「下半身」ネタあるいは恋愛話を特集。エピソードがずらっとならんでいるわけだが、明らかに「笑い話」とか「シモネタオチ」のコントとかも混在してたりして…。まあ、下半身と上半身とではいろいろ区別して語られてたほうがいい場面もあるわけだが、種々のエピソードをこれだけ集めるとやや圧巻でもある。
 特にルイ15世とかアンリ2世とかブルボン王朝関係の話は面白い。ルイ15世の摂政オルレアン公フィリップの100人を超える愛人、シャンパンを娼婦の顔にかける貴族(シャンパンの歴史と娼婦の歴史はオーバーラップしているそうだ。マキシム・ド・パリが高級娼婦が集う場所でそこではシャンパンを注文すればOKのサインだったとか)、アンリ2世より20歳年上の恋人ディアヌ・ド・ポワチエ(65ページに挿絵が印刷されているが確かに美人)、ルイ14世とエリザベス1世のカツラ好きのエピソード、ナポレオンの皇后ジョセフィーヌの靴下好き、そしてルイ15世の愛人ポンパドゥール夫人。この二人は、フランス版ハーレムを形成して、夫人自身は不感症だったため街で娘をかどかわしてはルイ15世のいる「鹿の苑」に連れてこられ、その人数は合計で200人から300人、私生児の数は60人以上とか。さらにルイ15世はポーランドの王女マリア・レクスンチカと結婚して10人の子どもをもうけ(この間にはポーランド王位継承紛争、オーストリア継承戦争、7年戦争と戦争続きでさらに植民地であるカナダとインドを失いフランスの財政はガタガタになるが)、しかも「巨乳好き」とかまで紹介されている。またやはりすき物のアンリ4世と60人近い愛人、そして王妃マルゴ。さらにマリア・テレジアが出した純潔規定も非常に楽しい内容でなにせ「独身の男女が一回以上関係をもったとき」には売春行為とみなされたそうだが、このため堕胎や子殺しがかえって増加したとか。ただそのハプスブルグ家にも梅毒の家系だった可能性が示唆されており、ハプスブルグ家の早死の傾向とその数の少なさなどが例示されている。特にその鼻の形に先天性梅毒の傾向が指摘されており、マリア・テレジアの父親カール6世やレオポルト1世に特徴が特にみられるとか。
 またユダヤ人の風習「割礼」についてミケランジェロのダビデが例示される。もともと割礼は古代エジプトでうまれたものがユダヤ人に伝わったものだそうだが、ギリシア時代にはギリシア人が割礼を好まなかったのでユダヤ人は割礼を隠すようになっていたらしい。そのためかどうかは知らないがミケランジェロは包皮がかぶっており、本来ユダヤ人であればそうではないはずだがあえてミケランジェロはギリシア風にダビデ像を彫刻したのかもしれない。
 最初はこうしたエピソードの羅列は辛いと思ったがこうして印象に残るものをまとめてみると結構楽しんで読めたようだ気がする。特にるい15世は面白いがこのブルボン王朝というのはすごい王朝だったのだなあなどともあらためて思う。

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