2007年11月24日土曜日

ユーゴスラヴィア現代史

著者名;柴宣弘 発行年(西暦);1996 出版社;岩波書店
 やや細かすぎる歴史的著述が非常に辛いが、それでもスロベニア、クロアチアそしてボスニア人とイスラム人といった複雑な民族と宗教の混在がいかにして対立をうみ現在に至るかが理解できる歴史の本。最初は王国として、二度目は社会主義国家として南スラブ民族の統一といったテーマを追求したがもろくも破綻。民族と民族がそれぞれに対立の歴史をもち、しかもボスニア人は前回の内戦ではかなりの悪者とされていたが、それもヨーロッパ諸国の外交戦略の一つだった可能性も指摘されている。
 特に個人的にはハプスブルグ王朝とオスマントルコにはさまれつつ、さらにロシアとオスマントルコの戦争を乗り越えて第一次世界大戦、さらにナチス・ドイツの侵攻といったくだりが圧巻であるように思った。「アンダーグランド」など映画の紹介なども随時なされバルカン半島を舞台にした映画のさらに細密な理解にもつながるように思える。

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