2007年11月24日土曜日

世間を読み、人間を読む

著者名;阿部謹也 発行年(西暦);2001 出版社;日本経済新聞
 ドイツ中世の研究者による学問と「世間」についての論述。「個人」というものの現れ方がヨーロッパの地域において異なるとか、修道院がもつ「禁欲の精神」の流布や音楽の記譜法の伝播など種々の考察がされている。タイトルのもつ「意味」は非常に難しい。知識と主体の変化ということなのかもしれないが今の自分にはよく理解はできない。そして知識が人間を変えるなどとは実は信じていないからかもしれない。知識はあくまで知識であって、人間が変われば知識のあり方も変わる。その程度の認識しかないのだが。
 作者がいない文学作品「アイスランドサガ」のくだりが面白い。「物語」を否定しようとする流れの中で人間の集合体がいくつもの物語を(しかも構造的にはほぼ同じものであろう物語を)うむがそれがまた後世に伝えられていく。ウェブというものも現在の「アイスランド・サガ」かもしれないなどとも思ったり。

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