2007年11月18日日曜日

プラトニック・アニマル

著者名;代々木忠 発行年(西暦);1999 出版社;幻冬舎
 話題のいわゆる「AV監督」による性評論。エゴを棄てて素直になる、自らを投げ出すという主張は最後には「チャネリング」というところまでいってしまう。いや、他人からみると到底真似できない領域に入るのだが、主題の「性」よりもビデオ監督としてラジカルな作品を世に問いつつ、商業的にも成功したそのメイキングのほうが実は個人的には興味深い。
「…子供の遊びみたいなもので、一つのシリーズに良くも悪くも自分が納得してしまったら、次にしたいものが自然と見えてくるのだ」
「私はしたいことをしているだけなのである」
「現在のアダルトビデオは、出演している女優の顔やスタイルだけで勝負し、中身はどれもワンパターンである」
と創作意欲がわく様子を独特の切り口でサラリと紹介し、いわゆるカラミがないビデオを製作してベストセラーにしてしまう。玄人だからわかる顧客の志向ということなのかもしれない。「エゴが死んだとき、人は本当の自分になれる」といったほかの人が言うと説教くさい発言にも人生の修羅場というか裏側を見続け撮影しつづけ、さらに商業的にも成功したプロデューサーだからこそいえるセリフだと納得してしまう部分もある。

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