2007年11月23日金曜日

サラリーマン一日一話  

著者名;吉田紹欽  発行年(西暦);1996 出版社;徳間書店
 かなりの「奇書」といっていいだろう。タイトルからは想像しにくいが内容はなんと江戸時代の「心学道話」。いわゆる心学で商業の心得みたいなものを寓話に託すという構図。庶民の教育に役に立たせたような話が多いが、その中でも特に商家に影響をあたえたもののようだ。石田梅岩ではなく柴田鳩翁という人に主によっている。
 江戸の心学中沢道二の影響もあるようだが、商品を売らずに「心」を売るといった今ではやや信じがたいような話の連続だが確かに得体の知れない説教よりも何かを話して、そこから教訓をよみとらせるほうが庶民には受け入れやすかったのかもしれない。ただしあまりにも説教臭い話が続くので今では…ということのようだ。「磨けば光る人間の心の鏡」とかそうした話が続き、やや読んでいて苦しくなる部分もあるが珍しい本ではあると思う。「あひみての のちの心にくらぶれば むかしはものをおもはざりけり」といった和歌が奇妙に心に残る。まあ、何かあったときのその後の心を考えれば、今からあまり後悔するようなことはしないほうがよい…といった意味にも解釈できるがもとは中納言敦忠の恋の歌。逆に考えると人間てやはりどうしても愚かしくても悪いことをつしてしまうのかも…とも思えるが、こういう話をわざわざ読もうというあたり、自分もけっこう古い体質でしかもなにかとセコセコ蓄積していけばなんとかなるかも、などと考える部分があるような…。

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