2007年11月24日土曜日

資本の部Q&A

著者名;中島祐二・山田眞之助・平井清 発行年(西暦);2005 出版社;中央経済社  
 会社法の現代化にともなう資本の部に関する改正について解説。やや読みやすいように編集されている上に仕訳なども著述の中にとりこまれていてわかりやすい。もともと「資本の部」と限定してあるのでそもそも仕訳とか会計処理についてある程度理解ができる読者を想定しているのだろうと思われる。設立時の定款記載事項、事後設立、新株発行、新株予約権などは公認会計士の著作らしいこだわりの文章が並ぶが、個人的には第6章に相当する資本の部の「計数」の変動が興味深い。株式会社はいつでも株主総会の決議があれば、資本の部の資本金や準備金などの数値の変更ができることになる。剰余金の分配がいつでも株主総会でできることになったためその制度と整合性をとるためとされている。準備金の資本組入れなどは株主総会の普通決議が必要とされた。こうした資本の部の自由な変動は企業の弾力的な資本構成戦略を図ることがっできるので物理的な合併などの企業再編を図ることができるのみならず、単独企業の資本の部の構成もまた弾力的に編成できるのが望ましい方向性だろう。もちろん制度の弾力化は不正の温床にもなりかねないがそれはまた公認会計士や裁判所などが受け持つ「信頼性」「適法性」といった分野の話になると考えられる。

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