2007年11月21日水曜日

イギリス怖くて不思議な話

著者名;桐生操 発行年(西暦);2000 出版社;PHP研究所
 ローマ時代には「辺境」、そしてエリザベス王朝からヨーローパの注目となり、ビクトリア王朝に爛熟の時代を迎える。殺人事件など種々のエピソードが記載されているのだが、ビクトリア王朝における秘密結婚の「噂話」やオスカー・ワイルドの話などが非常に面白く、それより時代が後に下ると日本の最近の事件のほうが不可思議で「怖い」といった感じもする。歴史をエピソードばかり連ねて理解するとおそらく「流れ」みたいなものが頭に入らないが、こうして一人ひとりの王侯貴族の恋愛話や怪奇話を読んで見るとそれはそれで公式記録が新鮮に読めるからこれもまた不可思議。
(ビクトリア王朝)
 この本ではビクトリア女王が「再婚していた」とか、「していない」とかといった「話」がメインだが一応ジョージ3世の孫として、本来ならば王位継承にはほど遠い立場であった女王がその王座につくまでも簡単に紹介。母親はザクセンの人なのでハノーバー王朝というのは本当にドイツの色が強い。王座に付いたのは18歳で、しかも産業革命をへて英国が世界の工場として躍進しようとしていた時代。ドイツ人の夫と仲むつまじく暮らして、スキャンダルには無縁のまじめな王侯貴族の道を歩む。1861年にその夫が亡くなるが、それまでは理想的なロイヤルフェミリーとして親しまれていた。で、そのスキャンダルは非常に世界を驚かせた…というエピソードなのだがどうにもこれは「ウソ」のようだ。娘はドイツのフリードリヒ3世と結婚し、さらにビクトリア女王の孫はドイツ皇帝ウィルヘルム2世となる。英国のみならずドイツともつながりをもつハノーバー王朝の「草分け」というか、現在のマスコミに露出する英国王族のイメージ戦略の始まりかもしれない。

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