2007年11月24日土曜日

サプライチェーン経営入門

著者名;藤野直明 発行年;1999  出版社; 日本経済新聞
 企業の経営システムを考えるのは楽しい。だれしも合理的であろうとして最後にはほとんどの人間が経済環境の変化にたえきれずにシステムの変化もしくは再構築を余儀なくされる。サプライチェーンは自分なりの理解でいうと分業制の中に情報システムをもちこんで企業全体で物流や情報の「風通し」をよくしようとする運動だと思われる。案外こうした情報の流れをスムースにするということが難しい。それまでの部門制度からこうした全体をみる視点は大事だが、市場が国際規模になってくると情報システムも万能ではなかろう。さらに価値連鎖といった概念や消費者行動の研究もけっしてスムースに流れて、従業員が全員理解できるという類のものでもない。トータルにはサプライチェーンかもしれないが、情報端末の向こう側ではとんでもないアナクロな経営議論がかわされるということも実際ありうるのではないかとも考える。
 たとえば小売商からの情報をメーカーがすべて的確に、しかもスピーディに認識できたとしてもその情報だけをもとに生産計画を修正するという企業行動ははたしてとれるものだろうか。なにかしらの在庫品引き取り条項などの別の法的システムの支援がなければ増産したリスクというものも考慮せざるをえないであろうし。これから多様性の時代が始まる。小売商などの販売側は商品の多様化、メーカーは商品種類の抑制といった二つの異なる「願望」をいだきつつ、サプライチェーンとして一つのシステムに同居するのであれば、さらにまた新たな別のシステムを多段的に導入しなければならない。案外アナログなコミュニケーション世界がさらに浸透したりして。

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