2007年11月11日日曜日

頭が良くなる速読術(日本実業出版社)

読書術というのは本来、本を読むことで各個人が獲得すべき技能のひとつであるのかもしれない。こうした読書に関する本を読んでみるとノウハウというのは人さまざまな方法があり、それを適宜修正していくことしかないような気がする。この日本実業出版社はビジネス本の老舗といってもいいと思うが、なかなか優れたビジネス本をたまに出版する一方でどうでもいいような本を多数出版する会社‥というイメージが強いのだが‥。これは読者が本屋でどこを重視して購入するかという選択肢にもよる。
 人間は生きているうちに大脳の1割から2割しか使用しないといわれている。のこりの部分をどう使うかは個人のやる気と方法論によるだろうが‥。人間は無意識のうちに同時並行処理ができるようにされており、それはスポーツであれ読書であれ資格取得の勉強であれ変化はない。この本では右脳と左脳という二分割でそれを説明しているがそうした論拠に根拠は無いので同時並行処理というのがいかに大事なのかを読み取れば十分だろう。現代で交換神経がもっとも機能するのは感情の起伏が激しいとき、つまり「怒り」などを覚えたときだが、こうしたときにはなかなか知識が頭に入らない。ノイローゼや欝といった現象もこうした交感神経の不具合‥という著述があるがちょっと個人的には疑わしい。もっとも成績をあげるための方法として情報処理能力をあげる、読書力をつけるといった論拠には賛成。また記憶力を高めるのはいかに忘れるかといった忘却ともリンクしているというのも賛成。早い話、人間はほとんどの記憶を忘れるのだから、受験やプレゼンなど必要なときに必要な情報だけを取り出せるようにしておけばよいのだ。記憶すべき事項とイメージングをリンクさせるというのは常識だが必要な指摘かもしれない。抵当権という概念が理解できるのはそのイメージが定着したときともいえるのだから。記憶とはペンキ塗りのようなもので繰り返し塗っていく作業の中でつかみとるものであろう。となると資格試験などのへの対策は、いかに数多くの実践的な定石を頭に刻み込むかということだから記・理解を高めるために問題演習とインプットを何度も繰り返すというオーソドックスなものになる。理科系の科目については復習重点主義をこの本はとなえているが文科系も復習重点主義ではないだろうか。語句カードで索引を作っておけというメソッドはそれなりに有効かもしれない。要は専門用語をどれだけ理解しているかがひとつのポイントにはなるからだ。こうした作業が潜在意識に残って、記憶の再結晶に役立つ‥というとオカルトのようだが人間には無意識という膨大な世界がある。あながちオカルトとも思えず、自分自身ではまったく覚えてなかったことをふと思い出す経験は確かにあることはある。スイッチバックというこの本の方式は要はアウトプットとインプットを相互に繰り返していって一種の「技」にしてしまうということのように理解した。ただしかし残念ながらこうしたメソッドはすでにいくつかの本ですでに紹介されているもので別に速読というにはあたらない。理科系科目は手書きで写して解放を暗記してしまえ、というのも和田秀樹氏がすでに何年も前から提唱されてきたことである。と、いうことでこの本はゴミ箱いきでーす。

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