2007年11月4日日曜日

社会科学入門

著者名 ;高島善哉 発行年(西暦);1985 出版社;岩波書店
私が読んだのは1985年40刷という本だが実際の出版は1954年6月20日。ということはこの本は発売から30年間にわたり愛読されてきたということになるが、現在では1年前の本ですら役に立たないことがある場合があることを考えると、高度経済成長期の日本社会にこの本が与えた影響は非常に大きかったのだろう。時代が時代だけに世界を資本主義・社会主義・発展途上国などの3分類にわけて分析したり、あるいは階級意識といった用語がでてきたりとかなりマルクス主義的な歴史観がみてとれるのだが、やはり学者だけあって「階級意識だけで議論をするのはいかがなものか」というニュアンスがあちこちに見受けられる。また極力客観的な著述をこころがけているふしがみられ、当時の時代性を考えると優れた学者は時代の「雰囲気」などにはまどわされず、学問のあり方について慎重にみきわめようとしていた姿勢がみてとれる。
 本当はこの本はもう捨てようと思っていたのだが、捨てる前に一度読み直してやはりおいておくことにした。自分が若いときに読んだ本であちこちに線がひいてあり、しかもしれが今の自分からみるとちょっと的外れなところに線をひいてあるのがみてとれる。であるならば、今から10年後にまたこの本を手に取ったときどういう感慨をいがくのかに興味があるからだ。
 社会科学(経済学・政治学・法律学・社会学など)はこの本が出版されてから大きく様変わりしたのでもはやこの本は入門書というよりも社会科学の発展をみる一つの資料として機能することになるのだろう。巻末には社会科学の古典のブックリストが並んでおり、今でもそのブックリストとしての機能は一部有効だと思う。

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