2007年11月17日土曜日

子供たちは森に消えた

著者名;ロバート・カレン 発行年(西暦);1993 出版社;早川書房
 あまり読後感のいい本ではない。実際にソビエト連邦時代に発生した12年間に50人以上の幼児や売春婦を殺害し、しかも当時のソビエト連邦ではグラスノスチ(情報公開)がなされていなかったから、日本はもちろんソビエト人民の中でも事件のことを知らされていなかった人が多数いるというわけだ。これは確か映画化もされたと想う。
 どちらかといえばチカチーロという犯人像よりも警察の捜査がうまく運ばない理由の一つに当時のソビエト連邦の秘密主義、あるいは社会主義賛美のムードがあったというように分析されており、犯行手口があまりにも稚拙すぎて12年間も野放しにんされた理由は確かに当時の社会情勢にもよるものなのだろう。当時はソビエト連邦では犯罪の発生率は西側諸国よりも低く凶悪犯罪も低いとされてきたのだが、歴史というのはある程度時間がたたないと真相がはっきりしないこともある。被害者の子ども達の写真が一覧で掲載されるなどニューズウィーク記者でもある著者の冷静ぶりが逆に圧巻。ただし、読後感はきわめて悪い。

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