2007年11月15日木曜日

ビジネスマンのための心理学入門

著者名;和田秀樹  発行年(西暦);2004 出版社;PHP研究所
心理学をビジネスに活用しようという理念は常々和田氏は提唱されていた。要は象牙の塔にこもる心理学ではなく、実生活に科学の成果を応用していこうという姿勢だ。それはかなり個人的には意味ある活動と思える。
 単純にはいえないが、ゆとり教育についての和田氏の考えには2つあり、それを使い分けていると思う。まずは子どもをもつ親としての意見だ。ゆとり教育の弊害を説くとともに、それを防止するための中学受験などを進めている。これは結構説得力がある。
 そして社会人むけには今の若い世代はゆとり教育でがたがたになっているから、中高年になってもあきらめる必要性はないと説く。これもまた説得力がある。必ずしもゆとり教育だからといって、すべての人間が数学的発想ができないということもないだろう。ただし実際の企業が新卒に対してかなり厳しい目をむているのも事実である。中高年にかけるコストが多少増加してもそれをうわまわる収益力さえあれば営利企業としては実はあまり関係がない。営業部員でコアとなる人間には65歳まで定年延長するという企業もでてきたが、新卒を5年間かけてベテランの領域にもってくるより、ベテランを5年継続雇用したほうが企業としても助かる局面がでてくる。
 認知心理学の入門書の書籍ラインナップも収録。認知科学をいかに日常生活に応用していくのかといった点でも結構面白い内容だ。

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