2007年11月17日土曜日

不肖・宮嶋史上最低の作戦

著者名 ;宮嶋茂樹 発行年(西暦);2001 出版社;文藝春秋
 「週刊文春」「マルコポーロ」といった雑誌でいわば突撃取材的な写真撮影で有名になったカメラマンだが、なにげない人情の機微をとらえた静かな写真も美しいし、それに文才がある。これからさらにいろいろな分野に展開していく才能ある人ではなかろうか。どこまで本気なのかはわからないが、かなりの愛国主義者であって西暦ではなく時間を表現するときには皇紀○○年という表現を用いる。ノルマンディー上陸作戦の記念祭典に取材に行くときには、「そのとき日本はインパール作戦の泥沼の中」であり、ドイツ軍は連合軍を上回る30万人の死者を出した…といった表現となる。
 第2章では北朝鮮への潜入ルポ。もちろん写真つきである。そして3章ではモザンビークPKOに同行。「愛国の至誠は烈火のごとく」「しかし死ぬにも死に方がある」といったくだりで個人的には大爆笑した。で、結局自衛隊のキャンプには宿泊できずなんとポルトガル軍の居候となって取材をつづけるのである。第4章ではCIA秘密訓練センターに潜入。そしてさらにエリツィン突撃取材の最中にフィルムが…。
 そして数々の自衛隊の実地演習の同行。冬の八甲田山にも同行取材している。そして神戸。大震災の直後の自衛隊の救済活動にも同行。静かな瓦礫の写真と笑いの中に突如あらわれる涙のあふれる瞬間が感動的である。「そんなん、やったもの勝ちですがな」とわらいとばす豪快でしかし繊細なカメラマン。第2作目だが勢いは全然止まっていない。

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