文化をここまで相対化してしまう…というのも日本の漫画の凄さか。世界各国あるいは日本の小さなギャラリーを拠点に時間も空間も飛び越えた元メトロポリタンキュレーターフジタが飛び回る。中国と日本の外交政策をめぐる中での美術品流出など意外なところから話を展開していく手法がまた素晴らしい。
サラをめぐるイスラム国家(おそらくはイラク)からの外国人労働者の話も切ない。でも「フジタ」ってやっぱり美術界の「ブラック・ジャック」。これが凡庸な美術商という設定だと「成り上がりの金持ちと愛人」というきわめて通俗的なお話に…。天才的な美術修復の腕と「メトロポリタン・キュレーター」という輝かしい経歴があってこそ…。そう、だって坂本龍一だって東京芸術大学卒業だからこそ「教授」とよばれるわけで…。これが…ねえ…。
やや絵があれたりネームが「雑」な部分もあるが、それでもやっぱり面白い「ギャラリー・フェイク」
カラヴァッジオやアフガニスタン地方のフッダ様式の仏像などをテーマにした物悲しい物語が続く。カラヴァッジオは映画の題材にもなったが、微妙にアンニュイな雰囲気が漂う。サラが「美少年コンテスト」をギャラリーで開く、というアイデアを実行に移したことから有名な整形病院の院長と、ちょっと正確的にも外見的にもアレな感じな女性をめぐる「美」の定義をめぐるお話は本当に悲しい。またアフガニスタンの仏像というのもこの漫画ではじめて知る。アフガニスタンに仏教が伝わったのは紀元前3世紀ごろ、インドの侵略が影響したとか。それ以前はアレキサンダー大王の影響で西側へ向いていた文化が東西交流の場所ということになる。ここでギリシア文化と仏教文化がまじってガンダーラ文化がうまれるわけで、そういえば「バーミヤン」もアフガニスタンだった…。イスラム国家という印象しかなかったのだが、元を正せば仏教の影響も受けていたわけで、筆者とその編集者あるいはスタッフのストーリー作りの匠さが素晴らしい。
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