2007年11月16日金曜日

生き方のスタイルを磨く

著者名 ;斉藤孝 発行年(西暦);2004 出版社;日本放送出版協会
 斉藤孝氏の著作について「そこが浅い」「ワンパターン」といった批判を耳にするが、個人的にはワンパターンとも底が浅いとも思わない。底が深く、しかも日本人の伝統様式に根ざした方法論・教育論を展開しているからこそ、多くの読者に訴えかける内容となっている。教育論の類はただ読んでいるだけでは実は意味がない。読者は自分なりにその意味やスタイルを掴み取り、それぞれの生活の中に活用できてはじめて「底」について論及することができるのだ。
 それにしてもこのNHK選書にある斉藤氏の著作物はどれも読み応えがある。この本ではバルザックやトーマスマン、メルロ・ポンティ、「黄色のゴッホ」といったスタイルを取り出し、身体感覚とスタイル、癖の技化といった概念を構築している。どれもスタイルとして確立されたものを斎藤氏なりの基準で並列化してみせたものだが、これはまた日本文化の伝承にもつながる。

 こうした一連の著作物についてはまだ自分なりの実践として活用できていない部分も多い。これからまた、独自のライフスタイルに活用していきたい内容をはらんだ一冊である

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