2007年11月16日金曜日

新・敵は我にあり

著者名;野村克也 発行年(西暦);2004 出版社;経済界
 元ヤクルト監督、元阪神監督、そして来期から楽天の監督をつとめる野村克也氏のエッセイ。
 旧版の「敵は我にあり」も読んだのだが、「基礎」ということをきわめて重視するとともにその「応用」も考える。こうした考え方は野球では嫌がられるのだろうが、個人的にはこれまで野村監督の考え方をビジネスに活用させてもらったことはいくらでもある。あきらめないこと、そして棒ほど願って針ほどかなうのだから、目標は下げないこと。生涯現役宣言をした野村監督はマウンドで倒れることを夢見ているのかもしれない。

 「反復演習」の重要性はすでにいたるところで確認されているが、野球にそれを明示的に持ち込んだのは野村監督が初めてではなかろうか。たとえばキャンプの練習については反復演習が多い時期と定義づけ、さらに「なぜそれをやるのか」を認識して繰り返すことが重要、とまで述べている。おそらくはただ単に素振りをするだけではなく、その素振りをどうしてやるのか、まで考えているほうが確かに技術の向上にはつながる。結果だけでなくプロセスを重視するという考え方はまさしく近代野球そのものだ。組織はリーダーの力量以上には育たない、というのは会社経営にもつながる考え方だが、基本戦略を立案するリーダーのその戦略が間違っていた場合、戦術レベルでの修正はもはやきかない。そのためにも①観察力②分析力③洞察力の重要性がとかれる。さらに判断力と決断力まで求められる資質としているが、こうした「力」を育成するには確かに、普段のプロセス重視の反復演習に加えて一種の感受性が必要なことには変わりがない。
 繰り返し読むたびに新たな発見がでてくるわけだが、野球についての本ではあるけれど、それを自分自身の日常生活にいかに「移植」していくか、ということが結構面白い実験にも自分にはなっている。

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