2007年11月18日日曜日

直観でわかる数学

著者名;畑村洋太郎 発行年(西暦);2004 出版社;岩波書店
 数学の本なのに「面白い」。面白いというのは、これまで定理・証明という手続きで説明されていた数学をまず「直観」で説明してそこから定理におりていくという手法をとるからだ。だがしかし、一つ弱点があるとすればやはりある程度数学の素養がないといきなり行列や対数関数のイメージといっても難しいことかもしれない。すべていったん履修してからイメージで振り返り、日常生活と乖離しないように数学を学習するというアプローチはかなり有効だが、いきなりこの本から入って複素数や虚数まで理解できるようになるとは思えない。ただ「思い込み」とか「使えない数学」といったイメージから、いかに日常生活に密着した数学の活用方法を自分なりに編み出していくのか、といった点はこの本を読んでて感じたこと。
 普段の生活から離れて抽象的な世界で記号や数字をもてあそんでも、あまり意味はない。むしろイメージとデジタル、日常生活と抽象的な思考のバランス感覚みたいなものが必要なのだろう。続編もベストセラーの仲間入り。そして現在もこの本はベストセラー街道驀進中だが、内容が充実しているだけにそれも当然。おしむらくは価格がなんと税抜きで1900円ということだろうか…。

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