おそらくは信濃町にあるK大学附属病院をモデルとした「永禄大学医学部」を卒業した斉藤英二郎。研修医としていろいろな部署を担当するが、精神科病棟で、取材のために潜入していた記者と遭遇。担当していた患者は他の統合失調症の患者と恋愛関係に陥りつつ社会復帰を図ろうとする矢先に小学校に入院歴のある男が乱入して殺傷事件を起こす…。精神科入院歴のある患者の犯罪率は0・6%と一般よりも低いのにもかかわらず差別問題と取り組もうとする新聞記者と医者。そして外界とはかかわりをもとうとしない大学病院…
20 代半ばと思われる研修医「佐藤」の戸惑いと向き合う現実の重さ。病院の内部自体が普段の生活からはうかがいしれないだけに、特に精神病棟編での患者と患者、患者と医者、マスコミと大学といった対立軸が随所にあらわれてくる。そしてそれをまた適切なタッチで漫画にしてしまう手腕がすごい…
妖精」を捜し求めている女性の患者が、路上でナンパされて、現実と理想のギャップに戸惑う場面。現実に(おそらく本当に存在する)「理想」と「現実」のはざまに戸惑う患者は、ただ隔離されていればいいのか、あるいは外にでて傷つくことまでも想定して生きていかなければならないのか…
非常に重たいテーマ。統合失調症患者を扱う漫画というのも相当に重たいが、絵の重厚さと恋人の家に遊びに行くときの「頼りなさ」など公私にわたってとまどう主人公の悩みが終始ストーリー全体を覆っている。実際に過去朝日新聞社の記者が精神病棟に取材入院してルポを書いたことがあったが、マスコミ報道のあり方や、そして「普通の生活」を送る一般人のあり方など多方面にわたって問題をなげかける衝撃の「精神病棟編」。第10巻は犯人が拘置所で暴れているシーンで終了する…。
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