泌尿器科に研修の場所を移した齋藤医師は、恋人の看護婦のローテーション移動の悩みにも気が付かないままに自分の問題にのめりこみ、そして恋人以外に気になる存在だった知人が人工透析クリニックに出入りするのを目撃する…
青春真っ只中の齋藤医師。優柔不断で自己中心的で…というと、やっぱりそういうところ、思い当たるフシが自分にもあって感情移入しやすい。迷いながらもテクニカルな話ではなくある程度の客観的なデータと、リアルな移植の話。そしてその移植に直接かかわろうとする齋藤研修医の「熱さ」がすごい。不完全人間であることには違いないが、その不完全なところに人間的魅力が満載。
バス停で話をしていて、話が途切れ、そしてバスが去っていったあと、相手がまたバス停に現れる…。夕暮れの病院近くのバス停には多分そんなエピソードがたくさん実際に存在するのだろう。
研修医齋藤は舞台を泌尿器科へと移す。この漫画で泌尿器科は実は外科に属する分野であることを初めて知ると同時に、前立腺ガンの多さや腎不全の方々の苦しみがわかったような気になる。人工透析の辛さは耳にはしていたが、実際にストーリーとして描かれ、しかもこれでもかこれでもかとリアルなデータを表示されると、やりきれなさと辛さで次のページをめくるのが苦しいほど。それでも圧倒的に読ませてしまうこの力はストーリーと迫力のある絵と、そして「病気」がいつも自分の周りにあることを読者が実感できるからだろう。「勃起神経全部とっちゃったからね」「移植っていうからには腎臓は2個あるんだから自分がまず提供すれば」という台詞がそのまま漫画の中に掲載され、読者である自分は現実の世界と漫画の世界との区別がつきにくくなり、まるで自分が意思決定をせまられているような気持ちになる。
出版社を変更しての「新」シリーズ。戸惑うばかりの研修医斉藤は、旧シリーズの勢いもうせて「諦めること」「自分をおさえること」を学習していく…。社会人としてのマナーを学んでいく階段は、初心や正義を忘れようとするプロセスでもある。しかしおそらく、最後の瞬間で人間はやはり「正義」という言葉にめざめる運命にある…と「仮定」するならば、やはり「研修医斉藤」はこのままでは終わらないのだろう。
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