2007年10月5日金曜日

ぢん・ぢん・ぢん

著者名;花村萬月 発行年(西暦);1998 出版社;祥伝社
 最初から最後までヴァイオレンスで、しかもラストには、美しいエンディングとは対極のそれこそ「終わり」といった設定が用意されている。ヒモとして活きようとするイクオは美少年で通じる20歳で新宿にでてきていろいろな大人からあちこちを紹介されてうろつきまわるという一種のビルディングスロマンともいえる青春物語。かつてはこの本をバイブルのようにして持ち歩いていた自分も「文学」「編集」「彷徨」といったところからずいぶんきてしまったなあ、などとふと我に立ち返る効果も。こういう効果でおそらく「電子ブック」じゃ無理なんだよなあ。最初から最後まで哲学的な会話でいろどられている異色の長編A5版664ページ。エンターテイメントとしても十分すぎるほどの迫力で読ませてもらえる力作。

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