2007年10月11日木曜日

東大式絶対情報学

著者名 ;伊東乾 発行年(西暦);2006 出版社;講談社
 一般ビジネスパーソンあるいは東大駒場の「情報」のサブテキストを目的として出版された本だが非常に読んでいて、著者の厳しい自己規律と倫理観を感じた。それが辛い部分もあることにはあるのだが、マインド・コントロールを絶対にさせないというその倫理観の根拠は書籍の後半でとあるエピソードで明らかにされる。何単位を想定された授業かは不明だが、学生にとってはおそらくかなり厳しい授業ではあるだろう。ただし一生懸命履修すればおそらくかなりの実力となって将来の自分にかえってくる内容であることは確かだ。変わる情報リテラシーとして知的反射神経の育成について語られ、手と目と脳の活用方法。さらにメールの書き方、マジックナンバー7による認知、予防公衆情報衛生、ネットワーク・コラボレーション、オリジナリティの3つのルーツ、知識情報のコア・コンピータンスの順序で語られる。
 7月の持込不可の期末問題は合計3問で、クロード・シャノンの情報量の定義を対数関数で著述させたり、卒論型レポートの進行を線形計画法、オペレーション・リサーチで立案させるといった経営工学のスキルまで要求するというきわめて高度な内容を1500円でこうして本にしてしまう講談社という会社もすごすぎるが、それをまた実際に書籍として具体化・現実化してしまうのも凄すぎる。優秀者の名前と文章も掲載しているが、そのうちの一人はマイクロソフトの当時CEOのビル・ゲイツと実際にあったことがありそれをまた授業で発表しているという凄さだ。「知識の洪水に流されない本質を捉える知」というものへ到達することの困難とすばらしさを思い知らせてくれる名著といっていいだろう。

0 件のコメント: