2007年10月13日土曜日

7つの自立力

著者名;多胡輝 発行年(西暦);2000 出版社;角川書店
 「自立」って案外難しい。そもそも自立というのがどういう状態なのか定義するのが難しい。一定程度の年齢なのに仕事をしていないとかあるいは世間的に見てまずい状態は誰もが見て「ああ、自立していない」と思うわけだが、通常、他人をみて「あの人は自立している」などと評価する場面というのはほとんどない。おそらく「自立している」「していない」というのは本人の心の問題なのかもしれない。
 そこで多胡氏は著作物の中で自立という概念を7つの要素に分解する。
①知の自立力
②情の自立力(情報)
③気の自立力(チャレンジ精神)
④体の自立力(健康)
⑤頭の自立力
⑥愛の自立力(家族愛や恋愛など)
⑦金の自立力
 実際に社会的に見て問題が出てくるのは金(経済的自立)になるケースが多いのかもしれない。ただ「知識」や「情報」の自立というのは確かに難しいと思う。「ギブ・ギブ・アンド・テイク」で2倍のギブで1つのテイクが当たり前と著者はいうが貴重な情報は確かにいくらがんばってもなかなか入手できるというものでもない。戸籍年齢と機能年齢を分別して考えるなどいろいろなノウハウが紹介されてはいるのだが、どうもいまひとつ著者の言い分がわかるようでわからない。自立しない便利さと自立する楽しさを比較してどっちがいいか、という視点はなさそうだが、すべてについて「自立」しているとそのうちストレスが増加していくと思う。やはりある程度他人にいろいろ依存しつつ、こちらも依存されつつ、といった関係性こそが社会のあるべき姿のような気がする。

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