著者名;松田洋子 発行年(西暦);2000 出版社;河出書房新社
主人公は42歳独身男性でデブ・ハゲで糖尿病をわずらいつつ、同性愛に走り、さらに夢想癖がある上に仕事は続かず、さらには食事から何から70歳過ぎの母親に依存しているという設定で、しかしプライドだけは異様に高いという…。読んでいると非常にやるせない気分になりそうなものだが、実は主人公自身があまり劣等感とかそういったものを突き抜けた存在で、しかも金銭欲というのがあまりない。労働をバカにしつつ、知的高みをめざそうとしているが実はお風呂のお湯もわかせないという生活感覚のなさでしかしスマップの大ファンでもあるという…。
岡崎京子世代の次にでてきた大型女性漫画家といえるのかもしれない。「リスペクター」という作品もとんでもなく過激な作品だったが、母親と中年の独身男を核にした一連の物語は、おそらく近代以前の家族形態でありながら、しかし主人公は男性とか女性とかいった枠組みをすべて拒否している上に市場経済の原理ですら実は無視しているという一種の超人だ。マイノリティではあるが、けっして差別とか被差別とかいった問題ですらつきぬけており、漫画には一応粗筋があることはあるが、もはや一つ一つのコマとかセリフだけで400ページあまりの流れが構成されているので手塚治虫にはおそらくかけないタイプの漫画であろう。ただ最近松田洋子氏の新作品にお目にかかれないのが残念ではある。が、この作品はいずれ歴史的にも再評価されるべき名作であることには間違いない。
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