2007年11月11日日曜日

これでも終の住処を買いますか

土地・建物・都市計画について元新聞記者の筆者が検討を加えたもの。売買物件と沈滞物件の質の格差や欠陥住宅、都市計画のずさんさなどについてルポが加えられている。現在話題のドンキホーテと地域文化との摩擦についても2000年時点ですでに検討が加えられている。
 ホッブズの「万人の万人に対する闘争」という言葉が引用され、公共性というものの問いかけがなされている。この数年規制緩和がなされ、都市計画の整然さはさらに失われたような気がする。中古物件の怖さや建売住宅の品質の問題など「住まい」に関する幸せや「生活の質」などについても言及された好著。
 「住まい」に関する問題はある種人生の問題でもある。ファイナンスや損得の問題で語られるべきではないだろう。そうした「基本」を再確認させてくれる。


 本来マンション管理とは「住まい」や「人生」を考える場所なのに、マンション管理士の試験がただの知識の切り売りや法の隅っこを問う形式になっているのが残念だ。合格率をもっとあげてマンション管理士を大量に増加させることがむしろ趣旨に適合していると思う。試験には直接役には立たないが、何のためにこうした資格を取得するのかを考えるのには適切な本。

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