2007年10月4日木曜日

若者はなぜ3年で辞めるのか

著者名 ;城繁 幸  発行年(西暦);2006 出版社;光文社
 旧システム時代に入社した上の年代層にはさしたる特技も目標意識もないにもかかわらず、ここ数年の22歳もしくは23歳には成果主義など厳しいノルマが課される一方で、実は「雑用ばかり」で年功序列のいびつな形が今の企業にあふれている。労働組合もはじめ、若手には発言のチャンスやポストもろくになく、すべてが50代以上の特定の年代層に有利なシステムが構築されており、それに気がついた若手が3年で辞めている…おそらくこうした趣旨の本だと思う。で、感覚的には著者の指摘は相当に正しい。すでに役員に就任している人間には成果主義などは適用されないし、部長レベルでもおそらく適用はされない。一番厳しい成果主義にさらされるのは若手で、しかもその評価は旧世代である「先輩」がくだすというわけで、ゲームのルールとしては著しく不公平だ。必ずしも成果主義が成功した企業がその後も躍進を続けているという話もきかず、年功序列型の組織がここにきてわりと円滑に機能している本当の理由を知る。
 市場経済であれば市場が冷徹な評価をくだす。一流企業を3年でやめる若者の中には得体の知れない日本企業内部の評価よりも市場全体の厳しい評価のほうをむしろ満足と考えるのかもしれない。

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