民法34条で設立が許可される公益法人の実態について共同通信の記者がルポ。とにかく面白い。「かくれた政府」としての公益法人の乱立と会計処理の不明確さなどを取り上げる。いくら行政改革をしてもこうした隠れた政府に流れる「仕事」と「その見返りとしてのお金」があるかぎり、民間事業者への圧迫と資金の流れは改善できない。補助金などのトンネル公益法人などの存在も示される。
こうした公益法人の業務はラクだと一般にされているが、それは競争原理がまるでないため。利益とその配分もおおまかにいえば「公益」だが、この内容には実は具体性はない。また行政が公益法人の許可やら認可やらをおこなうには行政裁量が認められる旨の判例もでているので、こうした部分についての改革はやはり遅れる。ただし世界でもまれな、あるいは歴史上でもまれな財政赤字を抱えているこの国がさらに100年後を展望してみると、さらに支出が増える見込みはあっても収入が増える見込みはまるでない。景気が多少よるなることはあってもやはり国内総生産はこれから縮小均衡していく運命にはかわりはない。税金を納付する主体が縮小していくのにパブリックセンターのみが肥大していくということもそれは絶対ありえないので、なんらかの改革が火t需要なのだが、このあたりの分野の行政改革は、あまり進んではいないのだなあ。非常に面白い上に、現在何に対して小泉首相が取り組み、さらに政治や経済で問題になっているのかを端的に知ることができる名著。
(ただしその後)
惜しむらくはこの本はKSD疑惑事件発生直後までの著述なので以下の公益法人改革についてはフォローされていない。その後小泉首相は公益法人改革を進めようとしており、行政委託タイプの公益法人については競争原理の導入と補助金削減を提示。また2003年度予算より使途が不明な公益法人については補助金の交付を停止できるようにしている。また余剰金については非課税ではあったが、課税議論もなされている。行政改革推進事務局(内閣)は、課税要件を厳しくする方向で基本案がでている。ただし非営利中間団体についての課税強化については反対意見も根強い。NPOについては、役員報酬を受け取る役員の数が3分の1以下であり、宗教活動や政治活動をしないことや、10人以上社員がいることなどと法定されている。NPOについては、国税庁長官の認定を受けた法人については所得税や法人税が軽減される制度が2001年度より導入されていることを受けている。基本的にはNPOは人権擁護、環境保全、国際協力など法律で要件が定められている。
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