著者名;岡田斗司夫 発行年(西暦);1997 出版社;講談社
いや自分自身もやや「オタッキー」な面があるということを認めるのにやぶさかではないのだが、実際にアニメゲームクリターが1990年代に東京大学で非常勤講師としてゼミナールをもつということ自体、80年代の東京大学からは想像もできないことだ。実際に多彩なメンバーをみてみると、小林よしのり氏など自治会が許さないようなメンバーまで含まれている。本来の講義課目はマルチメディアだったのが自由設定ゼミの枠を利用してゲストを迎えて講義するという形態のもの。対象物に対していかに批判的・批評的な立場をもてるか、メタ認知できるかがオタクとファンの違いと定義づけられる。あらゆる文化はその背後に「イヤナモノ」を抱えていると喝破する岡田氏はややテーマとしては極端な分野にまで講義を拡大していく。オタク文化を一応形式的に①映像②デジタル③出版としているが、21世紀の今ではほとんどがデジタルで、その次が映像ということになるのだろう。マルチメディアだからなにせその垣根がすでに消えている。
ただ個人的に一番面白かったのは「ゴミ漁り想像力補完計画」と題する村崎百郎氏をゲストに迎えた講義である。
「人生の節目節目で捨てるもんなんだよ。大切なものは。人間ってのは人生のある時期に何かを諦めないと前には進めないんだろうな」
「求めているのは個人よりも物語」といった胸にしみる話が満載。
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