著者名;アーサー・アンダーセンコンサルティング 発行年(西暦);1999 出版社;東洋経済新報社
いわゆる「知識経営」というものを提唱したのは野中郁次郎一橋大学教授(当時)だったように思う。経営の効果とは、いわば「将来キャッシュ・フロー」で測定可能ということに通説はなっているが、1970年代に「知識」と「将来キャッシュ・フロー」に因果関係を見出した業績はすごい。現在では「知識」つまり「ナレッジ」が「儲け」を出すというのはあたりまえだが、ここで問題になるのは、「儲け」につながる「ナレッジ」とは何か、あるいは「ナレッジ」を生み出す「経営環境」とはいかなるものか、ということになる。この本ではそれを①企業経営の観点②課題と解決の観点③実践する場合の観点④プログラムとして制定するときの観点⑤実践の例示といった5つの編に分けて紹介している。
こうした戦略は人・プロセス・情報技術といった観点から策定されるが、情報技術については主にパソコンスキルの問題であっても最大の問題は「人」をいかに意識的に意欲を持たせるかということであろう。理論的にいくらすばらしくても、ナレッジマネジメントに対して、モチベーションをもたせるのは非常に難しい。営業やコールセンターは消費者との接点があるわけで、そうした「ナレッジ」を研究開発部門などと共有すれば、もっと「儲け」が出るという発想でその具体例として富士ゼロックスのコールセンターが紹介されている。「付加価値連鎖」といった一種のトータルマネジメントの観点から易しく著述されており、個人のスキルアップとしても利用できる経営学の本。問題解決のためにはナレッジ(知識)が必要であり、それを利用しやすくする共有システムを作成しょうとするものでこの場合のナレッジ(知識)とは「データ、情報、知識、知恵」といったものをすべて包含する広範囲な概念であることも抑えておきたい。「集中と選択」といった観点からも利用できる良書である。
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