2007年12月21日金曜日

マーケティングマネジメント

著者名;フィリップ・コトラー  発行年(西暦);2000 出版社;プレジデント社
名著というものは初心者が読んでもわかりやすく,ある程度知識がついてから読み直すと新たな感動が覚えられる書籍のことだ。この634ページにも及ぶ大部の本はまさしく名著でありマーケティングの理解にあたっては必読の書籍である。また何度読み直しても自分が何を読んできたのだろうといずかしくなるほどに新たな知識と理論を吸収できる。
 1990年代に執筆されたないようだが2000年代にも通用する普遍的な原理が説かれている。とはいえもちろんケーススタディを扱っている事例については「読み替え」を読者でしなければならない。しかしそれは執筆者の労力をおもえばさしたる労力でもない。
 マーケティングといえばともすれば「うらんかな」の学問とも誤解されがちだがこの本では世界の大部分をおおう飢餓・疾病・文盲といった減少や南北問題にも目配りされている。企業は製品志向や技術志向だけでいきるのはなくその上に更にマーケティングの努力をとき,そしてその応用範囲を拡大していこうという意欲作である。マーケティングの本質は「生活水準の創造と実現」にこそある。
 満足した顧客は満足感を3人に話すが,不満足を覚えた顧客は11人に話すという話も紹介されている。企業のあるべき姿として利益を得ながら顧客を満足させる事業をおこなうものであり,社会的責任についても内包されていると考えてよかろう。消費者や社会の福祉,企業の利益・消費者の満足・社会の利益の調和といった社会志向マーケティングについても説明されている。
 また経営戦略といった概念が1970年代に登場し,投資ポートフォリオといった概念についても説明がさかれている。その中で「組織とはその環境の中で何事かをなしとげるために存在する」といった一文が紹介されており,その「何事」がもちろん社会的利益と調和性をもつことが想定されていることが暗に感じ取られる。
 企業のミッションについてコトラーは5つに分類している。
①歴史
②オーナーの好み
③市場環境
④経営資源
⑤明確な独自能力
この5つをふまえて少数の目標に焦点をしぼりこんでいく作業プロセスでマーケティングがまた有効である。
「目標は事業が進むべき方向を示し,戦略はそこに至る答えを提供する。そして戦略は,効率的に実行され,かつ状況に応じて修正される詳細なプログラムへと転換されなければならない」「マネジャーはその事業が直面する機会と脅威を明らかにする」「マネジャーは製品の弱みと強みを明らかにする」「計画で論及されるべき問題点を明示する」「広告支出増大は買い手の価格感度を低下させる」「高品質は高価格を可能とする」「小売段階での実際の販売状況は情報の入手が遅れることが多い」「消費者がさまざまな製品特性,価格,広告にどのように反応するかを理解した企業は競争上優位にたつことができる」「すべての人間社会には社会的層別化がみられる」「ライフスタイルとは個人の活動・関心・意見において表現された生活のパターン」「学習を通じて人々は信念と態度を形成し,それらはまた行動に影響する」「最大の広告は満足した顧客」「競争相手の戦略を知ることはマーケティング戦略上きわめて重要」…

種々の箴言めいた文章とともに豊富なグラフとケーススタディ。この本を超える名著をさらにコトラーは執筆している。まずはこの本が私のマーケティング理論入門最大のお勧めである。

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