2007年12月21日金曜日

商売の原点

著者名;鈴木敏文  発行年(西暦);2003 出版社;講談社
小売商の基本を①品揃え②鮮度管理③クリンリネス④フレンドリーサービスとし,その基本・基礎をとにかく徹底的に重視する。小売商というのはもともと派手な職種ではなく,地味なことを地道にこれでもかこれでもかと徹底的に積み重ねていくことしか他店との差別化ができない。基礎・基本を徹底し,それを継続することで小売商の体力は増強する。人間はともすれば安易な道を選び,取り組みも無意識に甘くなりがちであるが,それでは売上が伸びるわけがない。消費者にとっての得は、結局は小売商の得にもつながってくる。鈴木敏文の長期的な利益獲得の執念が伝わってくる。価格だけさげればいいというわけでもなく,あくまで顧客の視線にたった接客や品揃えを重視する。こうした姿勢は流通業界のみならず他の業種でも応用可能なスキルである。「そうめん」を気温の高いところに保管するのはよくないが「かんめん」はある程度日数をおいたほうが味がよくなるといった商品特性の知識も当然要求している。現在の消費者は過去よりも価格ではなく品質を重視するようになってきていると分析されているが,それは書籍でも同様かもしれない。ある程度内容が確固たるものであればそれなりの価格でも売上は伸びるのだ。商品をきちんと並べる。伝票をきっちりつける。そうした基本をないがしろにせず,会社の規模が大きくなっても経験をいくら積んでも基礎・基本にたちかえることを鈴木氏は要求する。
 基礎・基本とはいっても抽象的な総論ではなく具体的な各論にブレークダウンし,それを一つ一つ解決していく能力を社員にもとめているようだ。ビジネスはすべからく「相対的」なもので,ハンバーガーショップが暖かいハンバーガーを提供することができればやはり消費者はそちらに流れてしまう。出版もウェブに負けないコンテンツや特性を考えないといけないのかもしれない。質・量ともに追求をしなければならないが,質への追求はほとんど無限に近い。そして質の向上がはかれない場合にはその対処方法を変更・検討してみる姿勢も重要であろう。
 ビジネスはいったん悪くなり始めると坂道を転げ落ちるようにわるくなってくる。そのときに応急措置ではもう手遅れだ。あくまで消費者の立場にたち,自分の都合ではなく消費者の都合で物事を考えるという姿勢はビジネス全体の基本であろう。信用獲得はじっくりしていかなければならないが,そこにはやはりたゆまない努力が必要だ。一つひとつの基本をしっかりやってきた人間は多少のことでは落ち込まない。やはり原因があって結果があるのである。基本ができていないのに販売促進などは笑止千番と鈴木氏は断言するがそれは実感としても正しい。店舗のイメージは日頃の積み重ねだが人間のイメージも日頃の積み重ねであろう。宣伝技術の発達はある意味で実態と宣伝内容の隔離もうむのでそれも問題である。社員ひとりひとりがそれぞれ自分自身と戦っている。仕事をとおして自分を磨くにはやはり職場はいいチャンスである。また自分で納得して身につけたスキルはこれから先どこへ転職しようと必ず自分に役に立つはずだ。人を説得するにはまず自分が勉強しなければならない。また相手より「深さ」をもたなければならない。また掃除など自分で実践しなければならないケースもある。教育はテクニックではなく,率先垂範がなければ本当の教育にはならない。またコンサルティングは相手に納得してもらってその行動が変わったときに初めて仕事をしたといえる。品質にシビアな目をむけつつ,リーダーシップをコンサルティングや教育論とからめて何度も何百回も部下にいいきかせている鈴木氏の経営者としての姿勢はやはりただものではない。一流の経営者の言葉を1400円で学ぶことができる。なんという良い時代に生まれたのだろうか。

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