著者名;佐伯 胖ほか 発行年(西暦);1995 出版社;東京大学出版会
音楽、芸術系統の教員を中心にした表現教育についての考察。かなりのインテリジェンスのある教員が執筆しており、フッサールまで引用されている。イメージと基本の両方を重視し、単なるイメージだけでは根ざさず、基本(音楽でいえば音符とか)も相互に重視するというスタンスできわめて好感がもてる内容だ。生徒に○○しなさいと強制することより内発的に表現させることに苦心している様子も伺える。
共通のテキストあるいは教科書を土壌にしてそこから生徒の多様な個性を表現させるという手法にも賛成だ。ある種の共通テキストがなければそもそもコミュニケーションが成立しない。日本の伝統教育ではもともと芸の習得にむけての確立されたシステムというものは存在していないわけだが、元来日本では「真似る」「模倣」ということからある種の創造性ができあがってきたように思う。もともと他人の知を利用することから創造性というものは発揮されるのであるから、というより他人が何を知っているのかを知らなければ新しいものは生まれないのであるから99パーセントはだいたいこれまで誰かがいってきたことでそこに1パーセントでも何か新しいものが加わればそれだけでもたいしたものである。そうしたことが繰り返し出来る人間。それが歴史上に名前が残る天才ということになるがたいていの人間は私も含めて天才にはなれない。だが、しかし‥凡人なりの知への追求というものがどこまでできるか。それは試してみたくなる書籍である。
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