2007年12月21日金曜日

大逆転 日本の金融

著者名;田邊 敏憲  発行年(西暦);2003 出版社;中央公論新社
クレジットクランチを防ぐための電子情報の開示について解く。会計と税制の整備とともに、中小企業財務データベースと国際標準方式であるXBRLの導入について考える。また経済産業省の「中小企業の会計に関する研究会報告書」についてもふれ、中小企業の物的担保や個人保証に頼らない資金調達の拡大、つまりは信頼性のある計算書類(財務諸表)の作成・公開の重要性を説く。IT革命により2002年4月より計算書類の広告はインターネットによっても可能となった。これに加えてXBRLによるディスクロージャーを行えば中小企業の資金調達はより活発になる。
 アメリカ会計基準においても大企業と中小企業とでは、二段構えになっていること、IASBでも中小企業向け会計基準の検討が始まっている。日本でも企業規模による属性の違い、負担可能なコスト、計算書類の目的などを考慮して中小企業に適切な会計のあり方を考える時期にきているという認識は拡大している。
 適切なクレジットプライシング機能とXBRL、そして財務データベースの確立が進めばあらゆる意味で金融業界に革新が起きるであろう。しかしこの本は2003年に出版されたが、その歩みはまだ遅い。社会投資型のファイナンスなどもその必要性はあるが、まだ日本では不良債権の問題が残っている。
 かなり内容的には近代経済学・国際会計基準などの基礎知識を要求する新書ではあるが、提起している内容や課題は2004年の現在もまだ有効であろう。

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