著者名;伊藤正人 発行年(西暦);2005 出版社;昭和堂
もともと認知心理学専攻の学生のためにかかれた書籍のようだが、ワトソンによる学習の客観的な研究に始まり、「学習すること」「行動すること」について科学的な紹介をしてくれている。もとより心理学には何の興味もないが、自分自身がどうやって行動を決定しているのかを知るのは非常に面白い。おそらくは何らかの外界からの刺激をもとにして、それに反応していることがすなわち行動であり、そうしたシステムの中でそうやって学習しうているのか、そして学習した結果、どう行動が変化するのかを知りたいとおもうのは私だけではなかろう。
特に面白いのはソーンダイクによる試行錯誤学習の実験である。ある特殊な仕掛けをほどこしたハコの中に猫をいれる。猫は外に出ようとして試行錯誤するわけだが、試行の回数が増加していくほどに所要時間が減少していく。もちろん猫と人間を同一視してはいけないが、すくなくとも試行錯誤学習の効果はある程度実証されているともいえるだろう。この実験では試行のたびに所要時間が計測されるので、自分で自発的な努力をするというわけにはいかないが、ちょうど模擬試験と模擬試験との間に似ている。やはりある程度問題演習をしていけば、当然所要時間が減少し、正解率があがる。ソーンダイクはこれを「効果の法則」とよんだ。「固体によって満足がもたらされるような反応は、他の条件が等しいのであれば、その事態により強く結合する。したがって、再び動物がその事態に置かれたならば、そのような反応は再び生じやすくなる」(ソーンダイク)。これがオペラント条件付けによる強化の原理ともいわれるものだが、生活水準でみれば、面白いことを反復演習していれば技能が向上する‥という経験的実感とまったく整合する。こういう心理学の研究成果を自分なりに咀嚼して生活の中に取り込んでいくことがおそらく読書の醍醐味の一つではなかろうか。
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