2007年12月9日日曜日

「頭がいい人」は脳をどう鍛えたか

著者名;保坂 隆 発行年(西暦);2005  出版社;中央公論新社
 やはりこれまで出版されてきた種々の脳に関わるノウハウを一冊にまとめたものという印象をぬぎされない一冊。ただし大学医学部の先生の著書ということもあり一定の抑制があるのと、箇条書きにてポイントがまとめられているのが特徴で、多数の書籍にあたるよりもまずこの本でアウトラインを把握してから、今後の新刊にあたるというアプローチが望ましいのかもしれない。
 神経細胞のネットワークをいかに構築していくかが頭の良さを決めると同時に、年齢を重ねても脳の活動が必ずしも衰えるものではないということを力説してくれる。ちょっとした訓練や日常生活の改善で普段5パーセントしか使用していない脳細胞を95パーセント活用できるようになるという説には賛成。学問に王道はないが、努力に加えて動機付けや日常生活での習慣など種々の工夫や改善の余地はある。そうした小さな積み重ねがいずれは大きな成果になってかえってくると思えば努力のしがいもあるというものだ。また九州大学教授の大村裕氏の研究による「やる気ホルモン」というホルモンが興味深い。サイロキシンというホルモンが動物の繁殖行動のために戦うときなどに分泌され、このホルモンによって動物は活動的になるという。ある程度体を刺激することによってこのサイロキシンが分泌されるようになるというので、なるべくそうしたホルモンが分泌されるように軽く運動する分にはいいのかもしれない。
 脳の受信装置(樹状突起)や発信装置(軸策)といった信号の結合状態のネットワーク(神経回路)とホルモンがいわば人間のハードウェアということになるが、このネットワーク自体はけっしてすべての機能が判明しちいるわけではない。ただ昔でいえば根性論でしか語られなかった学習や脳の活性化というものがある程度科学的に立証され、科学的に使うことで新たな可能性を模索することができる。慶応大学の岡野教授は55歳の人間の脳に神経細胞の前段階の細胞を発見したという。さらにエリクソンは72歳の人間の脳からも神経細胞の増殖を確認した。ようは70歳をすぎても人間の脳は進化するのだ。なおさらましてや自分のような小僧は、まだまだ発展途上としかいいようがない。

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