2007年12月22日土曜日

30歳からの成長戦略

著者名;山本真司 発行年(西暦);2005 出版社;PHP研究所
MBA神話なるものがあるが、あまり身近に経営学修士を獲得した人間がいない(学生時代の友人がスタンフォードなどで取ってはいるが‥)せいもあって、業務上のメリットというのは実感できないでいた。しかし日本企業にあきた人間がアメリカやイギリスに留学するケースは増加しているという。
 おそらくは、日本では学習できない理論を学びに海外にいくのだろうが、ほとんどのスキルは日本の書店で得られるものであり、著者はまずMBA神話を否定し、人文科学や自然科学などをトータルにみた総合力で勝負しろと説いている。
 語学力がこれからある種のスキルになることはもちろんだろうが、それは必ずしも必要条件とはいいきれない。成長分野で他人が手をつけていない分野にこそ、進出するメリットがあるというスタンスには好感がもてる。
 有望分野に進出するということはただし誰もが手をつけることだが、それだけではもちろん結果は失敗に終わる。情報関連産業はこれからかなり多くの労働者や企業が参入する分野であるだろうが、同じサービスを提供する会社は実は2つはいらない。有望分野ではあるが、自社には他にはない強みがあるという実感がある場合にのみ進出が可能となる。ソフトウェア関連ではおそらく人材ということになるのだろう。また多角化という場合のデメリットもある。「選択と集中」というが、「選択して集中した場合」と「何でもやる」といった場合とでは集中していたほうが絶対に強い。それだけ集中というのは強みを発揮するのである。自分自身も含めて人間の感情というものは外からはみえない。自分自身のことですら自分ではわからないケースもあるのだ。
 それを考えれば、読書やディスカッションといった作業がいかに大事かということをこの本は教えてくれる。また「マーケティング」といった科目には常々疑惑をいだいていたが(はたして有効なのかどうか)、その答えもこの本には書いてある。
 おそらくコンサルティング業界からみた成長戦略で、しかもある程度アカウンティングや意思決定理論を学習した人間向けの書物であって、マーケティング等をこれから学習してから読むべき本(でないとマーケティングなど勉強しなくてもよいなどと思い込む可能性もある)だとは思う。基礎・基本を固めたその次に何をやるかを決めるのにはいい本だ。

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