著者名;戸松 秀典 発行年(西暦);2000 出版社;弘文堂
やや内容的には古いものの憲法解釈には、歴史や社会に関する幅広い知識と教養が要求されるという論旨は一環している。おそらくは社会全体のバランスを考慮せざるを得ないためとも思われるが、主として憲法の逐条的な解釈というよりも幸福追求権を訴訟で解決するにはどうすればよいか、あるいは司法としての判断の限界などを一定程度抑制する形で書かれているのが特徴ともいえる
また刑法200条が違憲とされるまでの経緯やその後についても言及がなされている。いきなり憲法を学習する前にはやや内容が難しすぎると感じる面とやや「常識」と考えられる面と両方が並存している本だが、ある程度問題解決には訴訟や法的判断ばかりではないということがわかってくると憲法のあり方や法的訴訟の社会的意義などが「感じる」ことができる内容ではないかと思われる。このシリーズでは商法を読んで非常に昔面白く思ったことがあるが憲法もなかなかの面白さである。
おそらくは近代憲法の理念は国を優先するよりも国民一人ひとりの幸せを追求することを目的としている(憲法13条の幸福追求権)。そのための「制度保証」が権力分立と統治における自由と民主の精神でもある。法律は国民の自由を公益の福祉にてらして一定程度制約するわけだが、だからこそ法律はすべて国会が策定する(国会中心立法の原則憲法41条)。罪刑法定主義もその一例であろう(憲法31条)。国会議員には種々の特権が認められているが、国民の代表者である国会議員の能力を最大限に引き出そうとする憲法の理念だろう。免責特権もその一つだし、名誉毀損のような発言の場合、一般国民であれば、民事責任や刑事責任(刑法230条)を負うが、国会議員には職務上の発言については免責される権利が認められている。また内閣もまた議院内閣制においては、不信任決議などの条文をみるかぎり、衆議院の信任がなければ存続しえないということをあらわしてる。(内閣があくまで国会に対して連帯責任を負うのが議員内閣制度)。
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