2007年12月23日日曜日

愛国心

著者名;田原総一郎・西部邁・姜尚中 発行年(西暦);2000 出版社;講談社
 旧制度のもとでは、「左」「右」といった単純二分割の枠組みでとらえられていた三人が愛国心について鼎談。「アンチ左翼」の安易な風潮に警鐘をならしつつ、教育基本法から外交にいたるまで幅広く議論のテーマにあげる。伝統というものをそれぞれの立場で重視しつつも、確固たる現在をみすえた議論が続く。
 この三人の膨大な鼎談を文章として、校正をかけた上で条文や用語集などを作成したOという編集者は相当な企画・編集の熟練者なのだろう。プチ右翼めいた言説が安易にとりかわされているのを「虚無感」と切り捨てるあたり「なるほどな」と思わせる。現在、旧体制でいう「左翼」といったものは実体はほとんどないので、そうしたところを叩くことにはたいして意味はない。むしろ、過去の遺産を無邪気に受け入れている自分自身がかえってまずいのではないか‥などといったことを考えさせてくれる。編集者の企画立案能力が実にすばらしい。

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