2009年1月4日日曜日

ライフハックのつくりかた(ソフトバンク・クリエイティブ)

著者:小山龍介 出版社:ソフトバンク・クリエイティブ 発行年:2007年 評価:☆☆☆
 最近微妙に増えてきたソフトバンク・クリエイティブの書籍。IT企業グループだけあって、ハックに注目した単行本というのは嬉しい。新書も文庫本もなかなか意欲作品が多く、これからはアナログな印刷にIT企業が独自のドメインから攻め込んでいく印象も受ける。
 そしてこの本は「ハック」というタイトルとは裏腹にきわめて哲学的な内容にまで踏み込んでいる。一種著者の世界観まで披露されているのだが、おそらく最終的には「携帯電話にペンをつける」とかそういうレベルではなく、根幹の世界観が問われる時代になることを語っているのだろう。オートポイエーシスという言葉で拡大していく空間にアウトプットが作り出されていく様子がイメージされているのだが、インプットはハックで行うにしてもアウトプットはどうすればいいのか、といった世界観で想定外のアウトプットを導出する方式を考案している。やや難解でもあるのだが、ただ著者の言わんとしていることはニュアンスから察することができる。「問い」を用意してあとは、空間の変化にあわせて解答も変わってくるだろう…そんな意味合いに解釈した。人間の世界自体が技術進歩も含めて大きく変化する時代に変化を想定していない解答はあまり意味がないと思われる。アウトプットもおそらく一時期には適合していても問いかけに対する解答はきっとまた変化する。そうしたときに自分自身のパターン認識と他人のパターン認識とのシナジーが必要になったりすることもあるだろう。それが著者のいうチームハックということではないかと推定した。ある意味ライフハックで入手したインプットで出した解答は一時的なプロトタイプでさらにそれを改良していく必要性があるということではないか。迂遠にみえて実はそれが最短のルートの「アウトプット・ハック」ではないかと想像する。他のハッキングの本と比較するときわめて難解な内容も含むこの本。しかし空間的な広がりも時間的な広がりも考慮している分だけ応用可能性が極めて高いと思われる。

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