2009年1月27日火曜日

営業と詐欺のあいだ(幻冬舎)

著者:坂口孝則 出版社:幻冬舎 発行年:2008年 評価:☆☆☆☆
 「営業」と「詐欺」は紙一重という煽り文句が書かれており、まじめに販売促進活動にいそしんでいる方々にはちょっと刺激的なタイトルかもしれない。ただし中身は販売についてのかなり実践的なテクが満載された一種のマニュアルであり、特に第6章の「撃退法」になると消費者ハンドブックとしても使える。商品の「メリット」「信頼性」「価格」について伝達したあとは、もう販売契約あるのみ…となれば、購入することを正当化する理由だけを消費者に与えればよい。商品それぞれによって特性は異なるかもしれないが、特にハイテク製品の場合には、「メリット」を訴える販売方法はかなり効果があることだろう。メリットの呈示についても特に「希少性」について語るというのはかなり効果的な方法で、目の前の商品の在庫が少ない…というのは一つのメリットになりうる。これは不動産商品などが一番該当するだろう。価格の話になればすでに商談は成功というのも(49ページ)かなり現実的なテーゼである。この「販売」というビジネス行為、実は経験則はかなり語られているが社会科学的にはまだ厳密な理論というものが確立していない分野でもある。いろいろ営業会議を開いたり、目標をかかげたりと試行錯誤はされているし、営業部の必要性はあちこちで認識されてもいるのだが、かといって「これこれが絶対法則だ」というものがない。新規顧客の獲得よりリピーターを獲得せよ…というのも理屈としてはわかるが、なかなか難しい面もある。リピーターには従前よりも価格面や信頼性の向上について訴得なければならないし、維持コストもそれなりにかかるからだ。「高い商品」を高くない…といいはるのはそれほど難しいことではないのだがそうしたテクについても紹介してくれている。肝心のこの本の売れ行きだがあまり話題にもなっていないようでそれが残念だが、2008年9月30日発売のこの新書。営業関係、広告宣伝関係の人には読んでもけっして損にならない内容だし、新書なので本体価格は740円。編集担当は天下の幻冬舎なのだから安心・安全なのでぜひもっと書店にならべて販売してほしい一冊だ。

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