2009年1月4日日曜日

憎まれ役(文藝春秋)

著者:野中広務・野村克也 出版社:文藝春秋 発行年:2007年
 野中広務氏といえばかつての自由民主党の重鎮。自由民主党では幹事長を務めると同時に自由党や社会党、さらに公明党との連立政権にも大きな役割を果たしたと同時に、小泉純一郎氏の構造改革路線にはあまり賛成していなかった立場の政治家でもある。「あらゆる勝負の基本は分断と懐柔」と言い切るその姿は保守系政治家の大物のしたたかさをみる。「国家100年のためには…」と連立政権誕生の裏を語るが、その一方でこの元政治家はいわゆるハト派の側面も持つ。こうした保守の懐柔戦略を練る一方で、護憲の立場からものをいうという大物政治家は現在では相当少数派であることは間違いなく、楽天監督の野村克也氏との文章のやりとりは読んでいて非常に面白い。「挫折経験」と「苦労」を重視する二人の発言は、若手議員や野球選手に向けてのメッセージであるとともに、すべての「若手」がこれから社会にどう向き合うべきかを教えてくれる人生指南書のようでもある。組み合わせがとにかく面白い書籍でこういう書籍の出版をあの文藝春秋社が手がけるというのも面白い。

0 件のコメント: