2009年1月31日土曜日

ぼくたち、Hを勉強しています(朝日新聞出版)

著者:鹿島茂・井上章一 出版社:朝日新聞出版 発行年:2006年 評価:☆☆☆☆
 非常に面白い対談集で、学識豊かなお二人が「ズロース」や「パンティ」の語感などについて語り合ったかと思うと、その中でフランス文学者鹿島茂が「フランスの歴史の中で女性がパンツをはいたのは過去に2回」と指摘。カトリーヌ・ド・メディチの時代とそれからナポレオン3世が第2帝政をはじめた時期だという。カトリーヌ・ド・メディチといえばフランスの近代料理の始祖として有名だが「パンツ」ででも歴史に名前を残していたのか…。さらに廃物となった「パンツ」を回収して素材のリンネルから高級な紙質の本を作るなどのエピソードに話は拡大していく。
 この対談さらには宗教問題にもおよび、フランスのカソリックは森の宗教であるドルイド教の上にかぶさった形になっているので、人物崇拝や生殖器崇拝なども残存しているのだという。
 それにしても井上章一の「青年の考えるユートピアって厳しいね。性欲から出発しているから」というコメントには笑ってしまった。確かに青年の政治闘争の根底には「性的欲求不満」というかそうした側面が少なからずあり、それが革命的精神の支えというか原動力になっている部分がある。
 「書籍」は文化のスノッブ需要といった経済学的な指摘もあり、読んでいて飽きるところがない。解説は室井佑月。

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