2009年1月10日土曜日

オン・セックス(文藝春秋)

著者:鹿島茂 出版社:文藝春秋 発行年:2006年 評価:☆☆☆☆
 非常に面白いフランス文学者鹿島茂氏の対談集。世界史の政略結婚、王妃マルゴとナヴァール王アンリの結婚、ヴィクトリア女王の晩節、イタリアとスペインとフランスのカソリックの違い、江戸時代の稚児の文化、アンリ3世のゲイ、文学者ユゴーとモーパッサン、人間のペニスの「ランナウェイ効果」、フーリエの空想的な(?)世界観など多彩なゲストと多彩なテーマが一冊の本の中で縦横無尽に語られる。特に世界史や日本史が好きな読者にとっては意外なエピソードを知ることも出来て読むのがさらに楽しくなるだろう。また解説の部分でも少し触れられているのだが、世の中にはどうしても一面的な世界観ですべてを「切り取ろう」と努力する方もいる。それはそれで大事なことかもしれないのだが、多様な「跳躍」をみせる対談集の中で「不自由なものの考え方」を貫くゲストもいらっしゃって、「性」の文化というものについての取り組み方もまた多様…とうなづくしかない対談もあるのが興味深い。アンリ4世が改宗して王座についたエピソードなど本当に面白く、つまらない対談が多い中では異色の完成度の高さを誇る内容。お勧め。

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