2009年1月10日土曜日

裏会計学 なぜ社長のベンツは4ドアなのか?(フォレスト出版)

著者:小堺 桂悦郎 出版社:フォレスト出版 発行年:2006年
 2006年のベストセラーだが2年遅れでようやく読み始める。支払利息は損金処理できるとか、経費処理するのと資産処理するのとでは節税効果が異なるといった話のオンパレード。繰越欠損金の節税効果(75ページ)がわかりやすい。これまで税効果会計などで繰越欠損金の税効果については、「丸暗記」に近い状態だったが、要は今年赤字で、次年度以降のある一定年度の範囲内に黒字になった場合、黒字から赤字の分を差し引いて課税所得とすることができる…つまり事実上、将来キャッシュ・イン・フローが発生するので、繰延税金資産になるというわけだが、これまで「文章」としては理解していても、イメージとしては理解していなかった事柄が理解できた。そのことだけでもこの本を読んでよかったと思うべきか。会計学と銘打ってあるが
実際には税務会計に近い内容の本で減価償却をしっかり理解していない読者がはたしてこの本を読んでなるほどと思うかどうかが疑問。粉飾決算のツケはすべて貸借対照表に出てくるというポイントをついた指摘もなるほどと思う。結局架空売上にしても貸借対照表で現金預金または現金同等物がなければフロー面での粉飾はストック面の棚卸しでばれることにはかわりはない。ただ著者が指摘していないことだが、資産の実在性はかなり証明や監査がしやすいが、負債の網羅性(つまり隠れて借金するということ)はかなり見抜くのが難しい。もし架空売上をたてて、隠れて借金をして現金残高のつじつまあわせをすることは可能ではある。ただ入門者向けの「税務会計」の本ということで…加盟金、つまり一種のロイヤルティは投資としてはあまり見合わないという紹介など内容はバラエティに富んでいる。ただし税法もかなり改正され、特に減価償却の計算方法もかなり変化したので2009年に読む場合には、改訂版が出されるのを待つべきか。

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