2010年12月29日水曜日

がん 生と死の謎に挑む。(文藝春秋)

著者:立花隆 出版社:文藝春秋 発行年:2010年 本体価格:2400円
評価:☆☆☆☆☆
2010年もおしせまってきた中、「がん」をめぐるこうした優れた本を読むことができたのは幸せだ。NHKで放映された番組を収録したDVDも添付されており、前書きで著者も書いているがまずDVDを見てから本を読むとさらに理解が深まる。「がん」についてはまだ未知の部分がどれだけ多いか。また、「がん」が理論的にはいかにして発生するか。そしてそれはまた人類の進化の歴史と密接不可分であることなどが明らかにされていく。最終的には「生と死」をめぐる問題になっていくが、著者が「人間には死ぬ力がある」と語りだす場面は感動的だ。生きる力があれば死ぬ力もある。人類の多くがこの病気に倒れていくが、これまでの根性で立ち向かうという闘病の哲学とはまた違う別の死に方あるいは病気との向き合い方を呈示した本。

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