2010年12月20日月曜日

最後の努力(上)(第35巻)(新潮社)

著者:塩野七生 出版社:新潮社 発行年:2009年(文庫版) 本体価格:400円(文庫版)
集団の統制をする場合には、ダブル・イーグル状態(リーダーの複数人の存在)は避けなければならないとされる。カエサルやアウグストゥスであればこうした3世紀の状態でも一人でなんとかなったのかもしれないが、凡人であれば別のことを考える。「分割して統治せよ」。そしてそれを一定程度成功させたのが,ディオクレティアヌス帝だ。

下り坂のローマ帝国をたてなおそうとディオクレティアヌス帝が登場。ローマ帝国の歴史の中でも珍しい4頭政治を導入。国内の治安の回復と防衛問題に尽力。西方担当のマクシミアヌスの助力もえて、一定の成果を残す。ただしその結果、軍事費が増大し行政機構は肥大化していく。そして皇帝はこれまでの市民の代表的性格から中世の絶対王政に近い存在へと性質を徐々に変化。さらに通貨改革と経済統制にも乗り出す。ただし権力志向というわけでもなくディオクレティアヌス帝は50代前半で帝位をひき、引退生活に入る。

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