2010年12月15日水曜日

終わりの始まり(中)(第30巻)(新潮社)

著者:塩野七生 出版社:新潮社 発行年:2007年 本体価格:400円
ゲルマン民族のドナウ防衛線突破。そしてマルクス・アウレリウスのもとで軍功をたてるマルクス・ヴァレリウス・マクシミアヌス。著者はこのマルクスを映画「グラディエーター」の主人公のモデルではないかと指摘する(実際にはモデルは執政官までのぼりつめる)。そしてその最中、シリア属州出身のカシウスが反マルクス・アウレリアスとして反乱を起こす(すぐに鎮圧)。非常に優れた軍人だったが、著者はその反乱の原因を暗愚の帝王コモドゥスにあったのではないかと推測。そしてコモドゥスはマルクスの死の直後にゲルマニアからの撤退が決まる。そして姉による弟の暗殺計画というマルクスが想定もしなかった事態へ…。「職業には貴賎はないが、生き方には貴賎がある」という著者のさりげない人生哲学が身にしみる。これまでの未来をめざすローマ帝国のエピソードから、この巻からさらに「衰退」と「滅亡」への暗い雰囲気がかもし出されていく…。

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