2010年12月12日日曜日

危機と克服(下)(第23巻)(新潮社)

著者:塩野七生 出版社:新潮社 発行年:2005年(文庫版) 本体価格:438円
ユダヤ人の娘に恋をし、しかし結婚は許されなかったため独身を貫いた皇帝ティトゥス。ボンベイの噴火などの事件もありつつ、疫病対策なども講じる。しかし紀元81年に41歳前に病気で死亡する。その弟ドミティアヌスが皇帝に就任し、ネロに続いて記録抹殺刑に処されることになる。ドミティアヌス競技場やネルヴァのフォーラムなどの公共事業を手がけ、「リメス・ゲルマニクス」とよばれるライン河とドナウ川の間を走るシュヴァルツヴァルトに一種の防壁を築く。こうしてみると兄ティトゥスよりも軍事経験では劣るが、公共事業というインフラ、そして安全保障大作など最低限の施策をドミティアヌスはおこなっている。地方自治における属州総督の不正も厳しく監査した。またダキア戦役ではそれなりに奮闘し、ローマ兵の救出にあたるが、その救出策で、市民の不評をかい、暗殺される。そして一応五賢帝のうちの一人とされるネルヴァがショートリリーフとして登場。1年4ヵ月後に病死し、トライアヌスが皇帝に就任する。初の属州出身の皇帝だ。

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