2010年12月12日日曜日

危機と克服(中)(第22巻)(新潮社)

著者:塩野七生 出版社:新潮社 発行年:2005年(文庫版) 本体価格:438円(文庫版)
ガルバから始まるオトー、ヴィテリウスの短命政権の間に、ローマ帝国周辺地域で反ローマの機運が高まる。ブリタニア、ライン河防衛ライン、ガリア地域のバタヴィ族の反乱。ついには一時ガリア帝国なるものまで設立される(約半年で崩壊)。さらにネロの時代にも問題となったユダヤ戦役も勃発。当時のヴェスパシアヌスがユダヤ戦役を鎮圧するが、そのときヨセフスというユダヤ人を手元に引き取り、そしてブリンディシに上陸する。ムキアヌスという貴重な支援者とともに皇帝権の明文化に着手する。皇帝法のこの制定により権力の正統性はまず担保され、権威も付着する。今なお観光地として名高いコロッセウムをたて、公共事業にも取り組む。息子とともに財務官に就任し、国勢調査をおこない税収の確保を図る。かくしてローマの平和と秩序は一応ヴェスパシアヌス皇帝とその息子ティトゥスの力でなされたかのように「見える」…。

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