2010年12月22日水曜日

キリストの勝利(中)(第39巻)(新潮社)

著者:塩野七生 出版社:新潮社 発行年:2010年(文庫版) 本体価格:362円(文庫版)
いまさら文庫本にはまるという年齢ではないものの、簡単に持って歩けて場所を選ばないとなるとやはり文庫本。単行本と比較してもページのとじ方は、無線とじが主流。ホットメルトでとめているだけなので頑強さには欠けるが、持ち運びの手軽さは新書サイズ以上。キリスト教が隆盛をきわめるなか、「背教者」ともよばれるユリアヌスが皇帝の座へ。キリスト教からみると悪の権化のようなイメージもあるかもしれないが、多神教ローマの伝統を取り戻そうとした点は愛国者といえるのかもしれない。その後の宗教論争や十字軍による侵略行為などもユリアヌスがもう少し受け入れられていれば、歴史は変わったのかもしれないが。アリウス派と三位一体説(カソリック)の対立も激化している時代の雰囲気が伝わってくると同時に、ユリウス・カエサルの時代を理想としている著者の苦渋の顔が眼に浮かぶ。

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